こんにちは、パーソナル・ウェルネスコーチの伊藤絵美です。何を隠そう、私も昔は皆さんと同じ、在宅ワークで体がなまってしまった“運動嫌い”の一人でした。「今日から頑張るぞ!」と意気込んでは三日坊主…なんて日常茶飯事。
在宅勤務で、気づけばお腹周りが気になっていませんか?「運動しなきゃ」と思っても、疲れていたり、続かなかったりで自己嫌悪に…。ご安心ください、その悩みはあなただけではありません。この記事では、根性論一切なしの、行動科学に基づいた「1日5分・騒音ゼロ」でできる、お腹引き締めトレーニングをご紹介します。もう「続かない自分」にサヨナラして、賢く、楽に、理想の体型を目指す第一歩を踏み出しましょう。
あなたのせいじゃない。在宅ワーカーの“ぽっこりお腹”3つの原因
クライアントの皆さんから、よく「どうして私だけ運動が続かないんでしょう」と、ご自身を責めるようなご相談を受けます。ですが、在宅ワークで体型が変化しやすいのは、あなたの意志が弱いからではありません。その背景には、多くの在宅ワーカーに共通する、抗いがたい3つの原因があるのです。
原因1:圧倒的な活動量の低下
在宅勤務は、通勤という毎日無意識に行っていた運動の機会を奪います。厚生労働省の調査によれば、1日の歩数が2,000歩減るだけで、1週間で約300kcalの消費カロリーが減る計算になります。この小さな積み重ねが、気づかぬうちにお腹周りの変化として現れるのです。
原因2:無意識の姿勢の悪化
自宅の作業環境は、オフィスほど整っていない場合が多いですよね。長時間、体に合わない椅子でPC作業を続けると、骨盤が歪み、猫背になりがちです。この姿勢の悪化こそが、内臓を支える筋力を弱め、脂肪量以上に「ぽっこりお腹」を目立たせる大きな原因となります。
原因3:見えないストレスの蓄積
オンとオフの切り替えが難しい在宅勤務は、知らず知らずのうちにストレスを溜め込みがちです。ストレスは食欲を乱し、代謝を低下させるホルモンを分泌させることが知られています。つまり、在宅勤務という環境そのものが、ぽっこりお腹になりやすい状況を作り出しているのです。
腹筋より「体幹」!“頑張らない”がお腹に効く科学的な理由
「お腹を凹ませるなら腹筋運動」と考えるのは、自然なことです。しかし、多くの人が見落としている重要な事実があります。それは、ぽっこりお腹の根本原因は、表面的な腹筋の弱さだけでなく、体の中心部にある「体幹」の衰えと、それに伴う「姿勢の悪化」にある、ということです。
残念ながら、特定の部位だけを狙って脂肪を落とす「部分痩せ」は、科学的にほぼ不可能とされています。つらい腹筋運動を繰り返しても、その上にある脂肪層はなかなか消えません。
そこで注目したいのが体幹トレーニングです。体幹とは、お腹、背中、腰回りなど、胴体の深層部にある筋肉(インナーマッスル)の総称です。この体幹は、内臓を正しい位置に保持し、背骨を支える「天然のコルセット」のような役割を果たしています。体幹トレーニングによってこの天然のコルセットを強化することが、姿勢改善に繋がり、結果としてぽっこりお腹の解消というゴールへの一番の近道になるのです。
今日から始める!騒音ゼロの「5分間・体幹サーキット」
ここからは、いよいよ具体的な実践方法をご紹介します。これから紹介する「5分間・体幹サーキット」は、ジャンプなどの動作が一切なく、ヨガマット1枚分のスペースがあれば実践可能です。マンションにお住まいの方でも、階下への騒音を気にせず安心して取り組めます。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 最初から完璧を目指さないでください。まずは各種目10秒ずつ、あるいは1種目だけでも構いません。
なぜなら、多くの人が初日に張り切りすぎてしまい、翌日の筋肉痛で心が折れてしまうからです。「物足りないな」と感じるくらいが、実は習慣化への一番の近道。この記事で紹介するサーキットが、あなたの成功の助けになれば幸いです。
【5分間・体幹サーキットのやり方】
各種目を指定の時間または回数行い、順番に進めていきます。まずは1セットから始めてみましょう。
1. ドローイン(30秒キープ)
腹部の最も深層にある腹横筋を直接刺激する、基本のトレーニングです。
- やり方:
- 仰向けに寝て、膝を軽く立てます。
- 息をゆっくりと吐きながら、おへそを背骨に近づけるイメージで、お腹を限界まで薄くします。
- 薄い状態をキープしたまま、浅い呼吸を続けます。
- よくある失敗: 息を止めてしまうこと。自然な呼吸を止めないように意識しましょう。
2. ヒップリフト(15回)
お尻と背中の筋肉を鍛え、骨盤の歪みを整える効果が期待できます。
- やり方:
- 仰向けのまま、両腕は体の横に置きます。
- 肩から膝までが一直線になるように、お尻をゆっくりと持ち上げます。
- 最高点で1秒キープし、ゆっくりと下ろします。
- よくある失敗: 腰を反らしすぎること。お腹にも力を入れて、腰を守りましょう。
3. プランク(30秒キープ)
体幹トレーニングの王道です。全身の筋肉を効率よく使います。
- やり方:
- うつ伏せになり、肩の真下に肘をつきます。
- つま先と肘で体を支え、頭からかかとまでが一直線になるように体を浮かせます。
- よくある失敗: お尻が上がったり下がったりすること。鏡でフォームを確認するのがおすすめです。
4. スタンディング・ニー・トゥ・エルボー(左右10回ずつ)
立ったままでき、脇腹の腹斜筋を効果的に刺激します。
- やり方:
- まっすぐ立ち、両手は耳の横に添えます。
- 右肘と、持ち上げた左膝を体の中心でタッチさせます。
- 反対側も同様に行います。
- よくある失敗: 背中が丸まってしまうこと。胸を張ったまま、リズミカルに行いましょう。
(ここに各種目のやり方を示すGIFアニメーションまたは短い動画の埋め込みを推奨)
「三日坊主」を卒業するための習慣化3つのスイッチ
効果的な体幹トレーニングを知ることは、パズルの半分を完成させたにすぎません。残りの半分、そして最も重要なのが、体幹トレーニングを「特別なイベント」から「当たり前の日常」に変える習慣化の仕組み作りです。意志の力に頼るのではなく、行動科学に基づいた3つのスイッチを試してみてください。
スイッチ1:ベイビーステップ
「毎日5分」ですら、疲れている日には高く感じられるかもしれません。そんな時は、「プランクを10秒だけ」のように、目標を極限まで小さくしましょう。行動のハードルを下げる「ベイビーステップ」が、挫折を防ぎます。
スイッチ2:ハビットスタッキング(習慣の重ね付け)
新しい習慣を作る最良の方法は、既存の習慣にくっつけることです。例えば、「毎朝の歯磨きの後に、ドローインを30秒やる」と決めるのです。こうすることで、「やるかやらないか」を脳に考えさせる隙を与えません。
スイッチ3:記録する
大げさな記録は不要です。カレンダーに、できた日は丸印をつけるだけで十分です。この単純な「記録する」という行為が、目に見える達成感となり、モチベーションを維持してくれます。
まとめ:新しいあなたへの、小さな、しかし偉大な一歩
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。
在宅ワークによる体型の変化は、あなたのせいではありません。そして、その状況を打破するために必要なのは、歯を食いしばるような努力ではなく、科学に基づいた正しい知識と、自分を労わる「続けられる仕組み」です。
ご紹介した1日5分の静かな体幹トレーニングは、あなたの体に、そして心に、きっと良い変化をもたらしてくれます。1ヶ月後には、姿勢が良くなり、お腹周りがスッキリするだけでなく、「自分もやればできる」という自信を取り戻しているはずです。
まずはこの記事をブックマークして、今夜、歯を磨いた後に「ドローイン」を3回だけ試してみてください。それが、新しいあなたへの、小さく、しかし最も偉大な一歩となることをお約束します。
参考文献リスト
- 厚生労働省, e-ヘルスネット, 「身体活動・運動」, https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise
- 厚生労働省, 「健康づくりのための身体活動基準2013」, https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple.html

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